第2回:ベンダーに依頼する前に知っておきたいこと:SCS対応の主役はあなたの会社です


作成日: 2026-06-08


「SCS対応、うちはどのベンダーに頼めばいいんだろう」

そう考えている方は多いと思います。実際、ネットで「SCS 評価制度」と検索すると、ITベンダーの解説ページや支援サービスの案内が上位に並びます。それだけ、ベンダー側もSCS対応支援に力を入れてきています。

今回は、SCS対応を打ち出しているベンダーのページをいくつか紹介します。ただ、その前に一つだけお伝えしたいことがあります。

SCS対応の主役は、あなたの会社です。

ベンダーはあくまで伴走者であり、評価を受けるのも、対策を実施するのも、運用し続けるのも自社です。この前提を共有した上で、各社の情報をご覧いただければと思います。


SCS対応を「ベンダーに丸投げ」してはいけない理由

実は私、今の仕事に転じる前はITベンダー側にいました。その経験から言うと、コンサルティングや支援サービスによく見られるのが、「綺麗な計画を作って終わり」というパターンです。計画書は完成したけれど、実際に動かせる仕組みになっていない、ということは珍しくありません。

SCS評価制度の要求事項を読むと、繰り返し出てくる言葉があります。「組織が」「自社で」「継続的に」といった表現です。制度が求めているのは、一時的に書類を整えることではなく、セキュリティ対策を組織として継続して運用できる状態にすることです。

ベンダーに頼むこと自体は悪いことではありません。自社にセキュリティの有識者がいなければ、外部の力を借りるのは合理的な判断です。ただし、「やってもらう」ではなく「わからないところを教えてもらう」「手伝ってもらう」という関わり方が、SCS対応をうまくいかせるコツだと思っています。

では、実際にどんな情報が公開されているのか、いくつか紹介していきます。


ベンダーが公開しているSCS解説ページを見てみる

ここで紹介するのは、SCS評価制度についてまとまった情報を公開しているベンダーのページです。どんな情報があるかの参考にしてみてください。

なお、今回紹介する企業とは利害関係はなく、特定のサービスをおすすめするものではありません。あくまで「こういう情報がある」という紹介です。

1. SecureNavi:動画でも学べる、制度の全体像をつかむのに向いている

→ SecureNavi「SCS評価制度とは?」 https://secure-navi.jp/blog/000252 https://secure-navi.jp/blog/000253

SecureNaviは、SCS評価制度について2本の記事でまとめています。図が豊富で、制度の構造を視覚的に理解しやすい構成になっています。動画コンテンツも提供しており、「文章よりも動画で学びたい」という方には最初に見る資料としておすすめです。

経産省の公式資料を多く引用しているため、原典に近い情報をわかりやすく整理した内容になっています。

2. NRIセキュア:シンプルにまとまっていて、社内説明に使いやすい

→ NRIセキュア「SCS評価制度の解説」 https://www.nri-secure.co.jp/blog/security-measures-assessment-system-for-strengthening-the-supply-chain

NRIセキュアは、セキュリティに関するさまざまなテーマをシンプルにまとめることが得意な印象です。私自身、社内でセキュリティの説明をする際にNRIセキュアのブログを引用することがあります。

SecureNaviが経産省資料を多く引用しているのに対して、NRIセキュアは自分たちの言葉でわかりやすく整理し直している印象です。「経営層や他部門に説明する資料を作りたい」という場面で参考になります。

費用感は高めの印象がありますので、支援を依頼する場合は予算感を事前に確認することをおすすめします。

3. SKYSEACLIENTVIEW:端末管理ツールの文脈からSCSを整理している

→ SKYSEACLIENTVIEW「SCS評価制度 特設ページ」 https://www.skyseaclientview.net/lp/scs/

SKYSEAはIT資産管理・端末管理ツールを提供している会社です。このページは自社サービスの導入につながる構成になっており、制度の解説よりも営業的な情報が中心になっている印象です。

4. LANSCOPE:周辺知識も含めて体系的にまとめている

→ LANSCOPE「SCS評価制度とセキュリティ対策の全体像」 https://www.lanscope.jp/blogs/cyber_attack_pfs_blog/20260324_31592/

LANSCOPEは、SCS評価制度そのものだけでなく、理解に必要な周辺知識も含めてまとめてくれています。

たとえば、世界標準のサイバーセキュリティフレームワークであるNIST CSF(Cybersecurity Framework)との関連も紹介されています。NIST CSFはSCSの要求事項とも重なる部分が多く、私も今後このブログで取り上げる予定です。


結局、ベンダーに依頼すべきか、自分でやるべきか

各社の情報を紹介してきましたが、「それで、うちはどうすればいいの?」という疑問が残ると思います。

判断のポイントの一つとして、**「自社にセキュリティの有識者がいるかどうか」**があります。

自社に有識者がいる場合

★3は、自己評価にセキュリティ専門家の確認・助言を組み合わせた形で取得できます。自社に有識者がいれば、基本的には自社主導で進めることが可能だと思います。

外部ベンダーに頼む必要はないかもしれませんが、客観的な視点として外部の専門家に確認してもらうことは有益です。

自社に有識者がいない場合

この場合、ベンダーや外部専門家の力を借りることは現実的な選択肢です。ただし、先ほど述べたように「丸投げ」ではなく、担当者が一緒に理解しながら進めることを大切にしてほしいと思います。

また、ベンダーにその都度依頼し続けると費用がかさんでいく可能性があります。長期的には、社内にセキュリティに詳しい人を育てることも、一つの選択肢として頭に置いておくとよいかもしれません。

なお、★3の評価は、ベンダーだけでなく、情報処理安全確保支援士やCISSPといった資格を持つ個人に依頼することもできるようです(詳細はまだ制度上の整備中の部分があります)。

私自身、情報処理安全確保支援士とCISSPの両方を保有しています。「ベンダーに頼むほどではないが、一度専門家に話を聞いてみたい」という段階でのご相談も、記事末尾のお問い合わせからどうぞ。


費用をかける前に整理しておくこと

ベンダーに依頼する前に、一度こんな整理をしてみることをおすすめします。

  1. SCSの153項目のうち、どの項目が対象になるかを見ておく
    ★3であれば81項目です。「費用をかけなくても対応できる項目」と「外部の力が必要な項目」に分けるのが大事だと思っています。この点は、今後ちゃんと整理しようと思っています。
  2. 自社の現状を把握する
    SCS評価のプロセスでは、現状のセキュリティ対策状況を自己評価することが求められます。ベンダーに依頼する前に、社内でどこまで把握できているかを確認しておくと、依頼の範囲も明確になります。

このブログが目指していること

私はグローバルな製造業グループのCSIRTリーダーとして働いており、セキュリティ製品を売る立場ではありません。自動車部品メーカーに勤めているため、取引先にセキュリティ要件を「求める側」であり、完成車メーカーから要件を「求められる側」でもあります。

その立場から、「このブログを読んだ担当者が、経営者を動かすための言葉と資料を手に入れられる」ことを目指して書いています。

ベンダーには書けない「要求する側の現場目線」を込めるのが、このブログの差別化です。難しい言葉をわかりやすく言い換えるだけでなく、「現場では実際にどう判断するか」という視点を大事にします。


次回の予告

次回は、SCS評価制度の要求事項の核心である「153項目」の中身を実際に見ていきます。

「どんなことを求められているのか」「自社に当てはめるとどうなるか」を一緒に整理していきます。全部を一度に読み解くのは大変ですので、テーマごとに分けて取り上げていく予定です。


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「ちょっと聞いてみたい」という段階でも構いません。私の経歴・支援内容の詳細は「このブログについて」をご覧ください。

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なお、SCSへの関心が高まる中、制度に便乗した不審な勧誘も出てきています。私のことも含め、見知らぬ相手を安易に信用しすぎないようご注意ください。経産省も注意喚起を出しています。

→ サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)に係る不適切な勧誘に御注意ください
https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/20260427_scs.html


CISSP・情報処理安全確保支援士 | けい

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